列車のサービス

列車乗務員の紹介

列車乗務員  列車内には数10名の乗務員が交代、分担で列車の業務をこなしている。作業内容は決まっているものの、突発的な事例が発生すると、上からの指示、命令がない限り行動を起こさない乗務員がほとんどで、外国人乗客から見れば、柔軟な対応や、臨機応変という言葉が全く似合わない印象を受ける。
 乗務員の質は、D列車や、Z列車などの優等列車になればなるほど高くなり、容姿端麗で教養やマナーもあり、実際に立派な人が多い。
 実際、これらの乗務員は交通大学などを卒業し、書く鉄路局の将来を担う幹部候補生のため、D列車やZ列車を担当することは、いわばエリートコースである。反対に、ランクの低い列車には、民度が低めの乗務員しか担当しないケースが多い。またサービス全体レベルでは各鉄路局によって差が出ている。。

食堂車を利用する

 中国鉄道の楽しみといえば何か? 人によっていろいろあるが、ひとつは「食」だろう。中国の列車は、短距離の列車を除くほとんどの列車に食堂車が連結されており、乗客や、乗務員の食事をまかなう場所になっている。日本では味わえない食堂車を異国で楽しみたい。そんな人に食堂車の利用方法をご紹介しよう。

乗客のためではない!? 中国の食堂車

餐車  今や日本では北海道へ行く寝台列車を除き、食堂車は全滅だが、中国ではまだまだ健在。もともと長距離を長時間かけて走る列車がほとんどなので、食堂車はなくてはならない存在だ。
 ただし、長距離列車に連結している食堂車は、乗客のためというより、列車内で働いている乗務員の食事を賄う意味合いが強く、乗客への食事提供はオマケ程度にしかあつかっていない場合もあり、列車によって、また運営する鉄路局によって当たり外れが激しいのが特徴だ。
 営業時間は決まっており、大体、朝は7:00〜9:00、昼は11:30〜13:30、夜は18:30〜21:00。営業を開始すると車内アナウンスが流れ、本日のメニューを教えてくれる。
 料理の注文は、カウンターで注文、テーブル席で注文、端のテーブルに座っている乗務員に注文と3パターンある。料金は全て前払いで、メニューを見て食券を購入し、ウエイターに渡す方法だ。支払いは全て人民元で、外国の通貨は受け付けていない。
 メニュー表は写真つきの豪華なものから、大学ノートを破った紙に、汚い文字で殴り書きに表記されたものなど、各鉄路局管轄の列車によって差がある。価格は乗客の足下を見ているのか、1つのメニューにつき15元〜25元、セットメニューで30元〜50元と町の安食堂の2〜3倍強はするため、利用したがらない人も多い。また、列車によっては朝もしくは昼に10数種類のおかずをチョイスできる、「自助餐」(食べ放題)を実施しており、15元〜30元の価格設定となっている。また、ビールやアルコール度数の高い白酒も扱っており、なかでも、優等列車では冷ケースが設置され、真夏は冷えたビールを楽しめるようになったのはうれしい。
 
メニュー  料理は石炭を使った強火で調理され、おなじみのアツアツ中華料理がテーブルの上に並べられる。新型の25T客車になると、電気コンロや電子レンジで調理する。味の方は列車によってバラつきがあり、これも予想できない。材料は始発する駅でしか調達していないのか、長距離列車では時間がたつにつれ、メニューの種類がどんどん減り、食べるものも限定されてくる。ランクの低い列車のなかには、列車従業員が食べるものと同じセットメニューしか設定していないという悲惨な内容も。とにかく当たり外れが大きいのでどんなことになっているかは乗車してみなければ分からないのだ。
 食堂車は禁煙の車両と、灰皿が置かれて喫煙可能な車両があるが、禁煙車の場合でも乗務員や乗警たちが率先して法律を破りタバコを吹かしている光景をしばし見るので喫煙者にとってはありがたい存在。
 長らくテーブルとイスのみの設定だったが、Z列車などの優等列車クラスになると、ゆったりくつろげるソファーに置き換わっているほか、バーカウンターも設置。3箇所に大型液晶モニターを設置し、映画やドラマなどを楽しめるようになった列車もある。
 ピンからキリまで幅が広い食堂車だが、せっかく日本では走っていない客車に乗っているなら、1度は利用して車内の雰囲気を味わってみてはいかがだろうか?

車内販売

 食堂車のメニューの高さに抵抗感を持っている人は、厨房で作られた「盒飯(フーファン)」と呼ばれる弁当を購入する手もある。朝はおかゆとマントウ、昼と夜はご飯の上におかずをかけた“ぶっかけ飯”とメニューが決まっており、1日3回、ワゴンに積まれて販売員が各車両をまわる。料金は朝が10元、昼と夜は20元〜25元となる。
 また、売店も設置され、カップラーメン(5元〜)やソーセージ(4元〜)などの長期保存が効く食料品や、ジュース(4元〜)やミネラルウオーター(3元〜)などの飲料水を購入できるほか、これらの商品を積んだワゴンが、盒飯同様、各車両で販売を行なっている。中国の客車には各車に必ず熱湯の出るタンクが設置されているため、お湯を注ぐだけでお手軽に作れるカップラーメンはどこの車両にいっても、食べている乗客は必ずいる。これらを見る限り、中国鉄道の食事事情はトップクラスなのだ。

こんな使い方ウルトラC

 あらかじめ断っておくが、これは鉄道に乗り慣れている上級者向けの方法。
 途中駅乗車する場合、列車によっては立ち席の硬座車しか選択ができず、車内では人がたいていあふれている。そんな立錐を何時間も過ごすより、きちんと座席に座りたいなら、食堂車を利用がベター。食事をする場だから、どんな切符を持っていようとお金さえ払ってくれれば無条件でテーブルの座席に座ることができる。そして料理をチビチビ注文しながら座席を占有できる方法だ。ただし、料理代金が高いので、注文しすぎて所持金を大幅に減らしてしまわないように。また、乗務員の食事休憩が入ってしまうと、追い出されてしまう。やってもいいけど効果は2〜4時間ほどだろう。
 夜間は茶座として有料で明け方まで席を開放している。しかし、朝食が始まると食堂車を追い出されてしまうのでこちらも長居には向いていない。

給湯器は上手に利用

 列車内には水道があるが、この水は飲めず、車両に設置されている給湯器を利用することになる。なかでも、カップラーメンやコーヒー、お茶などを持ち込んだ時、非常に役に立つ。また寝台コンパートメントにはお湯の入ったポットが置かれている。熱いので口の中をやけどしないように。
 城際列車では一部の客車には飲み水用の給水タンクが設置されていることもある。10年ほど前なら、軟臥車には書くベッド1人分のお茶カップが用意されていた。しかし、格差社会の拡大で、モラルのない軟臥乗客が相次いでカップを持ち出してしまい、現在は置かれていないため、自前ということになる。