香港直通列車

香港直通列車の歴史
中国と香港を結ぶ路線は意外にも100年近くの歴史があります。1911年10月15日 | 広州―九龍直通列車運転開始 |
1949年10月14日 | 直通列車運転中止 |
1979年4月4日 | 直通列車運転再開(ディーゼル機関車による旅客列車) |
1997年5月 | 北京西/上海―九龍直通列車運転開始、東莞で出入国審査開始 |
1997年7月1日 | 香港、中国に返還 |
1998年秋 | 九廣通(Ktt)と新時速の直通列車使用開始 |
2003年秋 | 北京市民と上海市民の香港旅行自由化、出入国審査が始発と終点に変わる |
2008年1月1日 | 北京西、上海発直通列車が25T車に変更。 それに伴い電気機関車が香港まで直接乗り入れるようになる。 |
中国広州と香港を結ぶ列車が開通したのは、1911年。当時香港を統治していたイギリスが1895年に清政府との間で鉄道敷設権を取得したのが始まりで、香港の九龍の先端にある尖沙咀と広州間(178.7km)結ぶ九広鉄路として建設された。そして清英両国の協定で、香港内(九龍〜羅湖、35.5km)は九広鉄路英段としてイギリス・香港政府が担当、中国国内は九広鉄路華段として清政府が運営を担当した。
1949年の中華人民共和国成立後、香港側の羅湖と中国側の深セン間でイミグレーションが設けられ、直通旅客列車は中止。貨物列車を除き、1979年まで再開されることはなかった。その間、九広鉄路英段は1975年、尖沙咀のターミナルをホンハムエリアに移転したほか、1982年の九広鉄道条例により、1983年には「九広鉄路公司」(旧KCR。07年12月、香港地下鉄MTRと合併、MTRに名称が統一される)として民営化された。また、同年には九龍〜羅湖間で全線電化が完了している。
一方中国側の華段と呼ばれていた路線は、国鉄から民営化され「広深鉄路股分有限公司」として誕生。別名、広深線、広深鉄路とも呼ばれており、現在では、広州/広州東〜深セン間で城際列車が1日約70本近く往復運行している。
1979年4月4日より、広州と九龍間の直通運転は再開されるが、当時はディーゼル機関車牽引の冷房付き軟座車が1日1往復のみ。中国側では広九城際直通、香港側では九広鉄路城際と呼び、乗客は深センと羅湖間で出入国する方法がとられが、後年出発駅、到着駅で出入国手続きを行なう形式に改められ、国境である深センと羅湖に列車は停車しなくなった。
そして1997年の香港返還直前の5月、隔日運転で北京と上海から九龍までの直通列車が運行を開始。やがて1998年には広深線の電化完了に伴い、中国側ではスウエーデンから輸入した高速電車特急の新時速(X2000、07年1月まで)が、香港MTR側では豪華なダブルデッカー車、Ktt(九廣通)がそれぞれ運用を開始。中国最先端を行く列車として話題になった。また同年、駅は九龍からホンハムに改名したが、中国の時刻表では今でも九龍表記のままである。
07年4月、広深線の複々線化により貨客分離が達成され、広州東〜深セン間は200km/h対応の高速旅客専用線として、香港直通列車の所要時間短縮に貢献したが、香港内の羅湖〜九龍間はMTR東鉄線の通勤電車がひっきりなしで運行しているため、直通列車はノロノロ運転で走っているのが現状だ(広州東九龍間最短100分)。しかし時間帯にもよるが、深セン羅湖のイミグレーションの混雑ぶりを考えると、直通列車を利用した方が、あとあと楽になる。
現在、香港と中国本土を結ぶ列車は10数本走っています。
運行区間 | 本数 | 使用車両 |
---|---|---|
九龍 (ホンハム)―広州東 | 1日11本 | |
九龍(ホンハム)―肇慶 | 1日1本 | |
九龍(ホンハム)―北京西/上海 | 1日1本 | 隔日 25T型 |
香港―広州東の列車基本情報
現在、広州東と九龍間を結ぶ広九城際列車は毎日12往復あり、そのうち広州東〜九龍(ホンハム)間(173km)は11往復、広州の西にある肇慶発、佛山経由の直通列車が1往復ある。ダイヤは広州東〜九龍間ならほぼ1時間に1本間隔で運行している。しかし、広州東発最終便が21:32に対し、九龍発の最終便が19:24と早く、直通列車で広州東に戻る場合、切符の売り切れも予想されるため、事前購入を忘れずに。
使用する車両は、中国鉄道所属(広深鉄路)の列車なら、準高速と呼ばれる時速140km/hの軟座車のRZ25Z。MTR所属の列車は日本生まれの豪華なダブルデッカー、Kttがある。興味深いことに、Kttを除けば中国側の車両には全て食堂車が連結している。2時間未満の乗車なのに食堂車が必要か? という声もあるが、そこは「食在広東」。食の国広州と香港を行き来する乗客に食事の場を提供するサービスと考えれば粋な話ではないだろうか。
【運行車両】
X2000
スウェーデンが中国側に無償譲渡した高速列車です。160キロ運行が出来ます。
座席は特等扱いですが、1等車輌とさほど変わりありません。フィヨルド地形対応のため、振り子列車ですが、平坦な広州一帯では機能は全く発揮しません。予備の無い1編成ですので、故障を起こすと、ディーゼル機関車+客車の代用列車が走ることもあります。※現在故障・停運中
Ktt
香港KCRに所属する2階建て車輌で、九廣通とも呼ばれています。前後を電気機関車がプッシュプルでの運行を行います。車輌は日本製で、質感は中国車輌とは桁が違うくらいレベルが高いです。従業員はJALやドラゴン航空から転職した方がいますので、サービスの水準もトップレベルです。発車10分後にウエルカムドリンクサービスがあります。特等車輌と1等車輌に分かれていて、特等車輌は1+2のシート構成です。残念ながらシートのリクライニングと回転はできません。切符を買う際の座席の指定は上層と下層のみ選択出来ます。この車輌に乗車してしまうと、他の中国車輌に乗車できなくなるかもしれません。
RZ25Z型
中国製の車輌で、準高速車輌です。最高時速は160キロ出せます。ディーゼル機関車が牽引します。中国製ですが、この車輌はシートがレザーもしくはモケットです。また、車輌により座席も回転します。この車輌クラスは、1等扱いです。他に食堂車や電源車、軟座兼荷物車(RZX1_25Z)という車輌も編成されています。
香港―肇慶の列車
![肇慶-香港間の列車[韓国車両]](image/25c.jpg)
【運行車両】
韓国と中国の合弁で製造されたステンレス車輌で、1等車と2等車があります。ディーゼル機関車が牽引します。1等車は向かい合わせ6人用座席コンパートメントですが、知らない乗客と同室になるので、仮に真ん中の席に割り当てられたらあまり気持ちのいいものとはいえません。2等車は通常の軟座と同じ2+2の座席です。料金は1等も2等も同じです。 他には食堂車と電源車が連結されています。※香港〜肇慶間は07年4月以降、RZ25Zに変わりました
夢の大陸縦断直通香港

列車はそれぞれ隔日運転で、香港まで運行しない日は、広州東止まりになる。また香港直通の場合、MTRのホームの長さに合わせるため、食堂車から先の硬臥車数両分は広州東で切り離される。 立場的には国際列車に準ずる「香港特区列車」として扱われている。1997年から03年11月までは、出国は広州と香港地区の間にある東莞で行われ、乗客は荷物を全部持って東莞駅に設けられた出入国管理所で中国出国―香港入国を行っていた。
03年11月に、北京市民と上海市民の香港自由旅行が解禁になると、運営方法ががらりと変わり、出入国審査をそれぞれ始発と終点で行なうようになり、途中駅に停車はするものの、香港直通列車の乗客はホームに降りることが許されず、車内に閉じ込められる制約がつくようになった。
現在、北京西〜九龍間(2475km)の所要時間は約24時間、上海〜九龍間(1991km)は約20時間で運行されており、08年1月より使用する車両が、従来の25Kから新型の25Tに置き換わった。また、09年4月1日のダイヤ改正より、T97/98次の乗車時間が1時間短縮された。
切符の買い方
香港直通列車の切符はきわめて簡単。乗車2ヶ月前から予約、購入できるので、旅行の計画も立てやすい。また九龍発のみ、MTRウェブサイトでオンライン決済(VISAカードのみ)も可能になった。 (www.it3.mtr.com.hk/B2C/frmIndex.asp?strLang=Big5)中国側でも香港に行く中国人は一握りだし、専用窓口があるのでこちらも苦労はしない。買えない時期をあえていうなら、中国の大型連休と4月と9月の広州交易会(広州往復)、クリスマス(香港往復)、日曜日夕方(香港戻り片道)は注意をしておいた方がいいだろう。
混む時期ですとやはり中国で多く休みのある春節や労働節、国慶節とクリスマス(香港)で、これを避けたければ旅行社に頼んだり、自力で買いに行くなら容易に入手できるはずです。
乗車する際、香港は中国統治下だが一国二制度で守られているため、立場上、出入国という手続きが必要。出入国管理業務を行なう中国側の駅は、北京西、上海、武昌(香港からの下車のみ、)肇慶、佛山、広州東、東莞で、香港側の駅は九龍のみ。乗客は始発駅でパスポートに出国のスタンプを捺されて、初めて列車に乗ることができる。
広九城際列車乗車方法
広九城際列車の乗車方法は、広州東では駅舎3階にある「広九直通車出入境」から、九龍(ホンハム)発は駅舎北にある「離直通車」(Through Train Departures)において、共に発車45分前から乗車の手続きが開始される。最初に改札、次に出国審査、そして乗車という順番になる。出国手続きでは、係員は手際よく業務をこなすため、ゲートを通過するのに5分もかからない。そして待合室に通され、発車20分前に乗車が開始される。発車10分前には改札が終わってしまう。大陸長距離列車乗車方法
北京西/上海からの香港直通列車乗車方法は、広九城際列車と同じだが、時間が若干異なる。専用の改札口として、北京西では駅正面向かって1階の右手に「出入境聯検庁」があり、上海では駅正面向かって左手に「出入境聯検庁」がある。共に改札開始は発車90分前から開始され、出国審査を行い、ホームへと通される。発車20分前には改札が終了してしまうので遅刻は禁物だ。ホーム上で列車の写真撮影は禁止されているらしく、中国側、MTR側ともにうるさい。列車が目的地に着いたあとは、駅員の誘導に従って入国審査、そして税関審査を受ける。
最後に注意すべき点は、中国側で香港直通列車に乗車した場合、例えば途中の東莞で停車しても、乗車はできるがホームには降りられない。乗客はあくまで出国を受けた状態なため、未入国のまま列車からは外に出られないのだ。
補足:広九直通列車の切符が買えない場合
