第6次ダイヤ改正

第6次ダイヤ改正の内容

 2007年4月18日で第6次ダイヤ改正を迎える中国鉄道。今回の注目は、なんといっても世界各国の高速列車を基に製造された動車組(D列車)が67本も運行され、主力幹線は10分〜20分置きに発車。時速200キロ(区間最高速度250キロ)の運行が可能となり、距離1200キロ〜1500キロなら約7時間〜10時間で結ぶことが可能となった。
 今回、このダイヤ改正を迎えるにあたり、ダイヤ改正のあらましや、過去のダイヤ改正の状況、投入される動車組の紹介を行っていきたい。

ダイヤ改正のあらまし

CRH2和諧  中国鉄道にとって、ダイヤ改正=提速は重要な意味を表す。それは列車の発車時間が変わるというばかりでなく、列車の平均速度が上がり、運行時間も短縮される。しかも全国地区で行うため、国土の広さや、旅客以外の貨物も同じ幹線で走っていることを考えれば、相当綿密に計算し尽された壮大な事業計画といえる。
 実際ここ10年で、中国の列車は相当速くなっているというのは誰もが認める事実。紅いディーゼル機関車が牽引する非空調車両・緑皮車特快が主力だった1990年代前半は、お世辞にも速いとは言えず、航空網の未発達や都市を結ぶ高速道路も手付かず地域がほとんどだったのも助け、飛行機の次に列車が速い程度の認識しかなかった。極端な例だが、07年4月18日以降、45時間で走る上海〜ウルムチ特快が、10年以上前だと75時間、3泊4日かかっていた時代だ。
 
 しかし1997年から始まるダイヤ改正で、列車の運行時間は短縮され、今まで2日近くかかっていた約1200〜1500キロ走行の優等列車の最高時速は160キロ、夜乗車して朝到着する運行から、“夕発朝着”と呼ばれた。そして、07年4月18日のダイヤ改正ではついに時速200キロ(1部区間250キロ)に達し、“1日到着”とまで呼ばれる運行時間まで発展した。年を追うごとに速くなっていく事実も、中国鉄道の魅力のひとつではなかろうか。
 中国鉄道は今や、中短距離なら、航空業界としのぎを削れる位置まで這い上がってきている。そして逆に、高速道路網の発達により台頭してきた高速バスに、近距離間の存在を脅かされ始めている。
 航空機との競合なら、上記で述べた1200キロ弱の距離なら04年以降、夜間なら寝台を持つ寝台列車が圧倒的に有利だし、07年以降なら、高速列車投入により、ダイヤが相当短縮されるため、同じ区間を飛ぶ航空機の乗車時間や料金と比較しても負けない要素は多々ある。しかし、高速バス相手だと、速さならともかく本数では物理的に負けるため、今後は、適度な時間の間隔による運行と、専用線の建設にどう対応を取るかが、更に注目視されてくる。
   
 高度経済成長に支えながら中国鉄道は日本では考えられないスピードで成長している。しかも08年以降更に、時速300キロの高速列車投入計画があるというから驚きだ。バブル崩壊後、22世紀を迎えた日本がたびたび使う“失われた10年”という言葉とは対照に、現在進行形で急成長を続けている中国鉄道では、“創り出した10年”という言葉がぴったりかもしれない。