09年4月1日ダイヤ改正

2本の高速線開通と“一票難求”の解決

塘沽駅で発車待ちをするCRH3  09年4月1日、中国全土で大規模なダイヤ改正が行われた。時速250キロの石太高速線と合武高速線の開通に合わせて、6月30日までの努力設定を含め、列車増加とランク変更が行われた。
 今回増加される列車はトータルで89本。そのうち動車組が41本、直達特快列車が6本、特快列車が2本、快速列車が9本、普通快車が28本、普通慢車が3本。そして、運行延長が15本、経由変更が13本、ランク変更が36本となり、中国で走る列車の総本数は1551本。そのうち、直通列車が640本で動車組が345本(直通86本、管内259本)。今回の改正で乗客輸送力が10.6%以上の上昇が可能となった。
 また、列車の増加により、列車番号も大幅に変更。N快速の称号が廃止され、快速列車以上の列車番号が3桁から4桁に増えたことは、今度も全土で鉄道が無尽蔵に延伸する意味を含んでいる。
 本来鉄道部では、07年4月以降の高速化を伴うダイヤ改正は行わないと宣言していたものの、2020年までに全土で高速鉄路網を完成させる中長期鉄路網計画による2本の高速線の開通により、結果的に第○次とカウントはされないものの、高速化となったようだ。
 
 これらの列車増加の裏には、高速化による列車運行の効率化もさることながら、鉄道部による切符購入問題に対するひとつの解決策が含まれている。というのもこれまでの切符は「沿岸部は求め易く、内陸部は求め難し」という傾向が強く、オフシーズンでも西部地域は切符1枚ですら手に入りづらい“一票難求”という状態が続いている。そのため鉄道部では2012年までに切符問題を解決させると宣言。華中から西南や華東から西南など地方から地方、また地方から大都市行きの長距離列車(快速以下)を新たに40本設定することで、内陸部での切符が買えない負担を和らげる政策としては大いに注目できる。
 途中駅での切符購入や切符の真のオンライン化などまだまだ問題が山積みのままだが、ようやく解決に向けて一歩前進した行動には評価はできる。
 いっぽうで、高速専用線開通に伴う急速的な動車組の配備は、旅客列車の淘汰の担い手にもなっている。08年末で滬寧城際旅客列車が全廃。また今回からのダイヤ改正により、京滬線を走る8本のZ列車は、6月30日までに寝台動車組にすべて置き換わってしまう。時代の変化といえばそれまでだが、これはこれで一抹の寂しさを禁じえない感がある。

 

石太高速線と合武高速線

北京駅に到着するCRH2  石太高速線は、05年6月11日に工事を開始。石家庄北駅を起点に、終点の太原駅を結ぶ全長225キロの旅客兼貨物線。設定目標速度は200キロで、最高は250キロに達する。石太高速線開通後、石太線の旅客貨物運輸力は大幅に向上し、輸送の時間が3分の1から5分の1に縮小となる。そして、山西省に1時間内の交通圏が完成し、山西省と河北省の両省の経済発展がともにリンクする効果が期待される。
 
 09年4月1日同線を走る計画列車本数は、29本。そのうち、太原から北京行きの動車組が9本、石家庄行きが7本。他に、6月30日までに動車組合計29本の開通を目標としており、北京行き動車組16本、太原から鄭州、瀋陽へ各1本運行する予定。なかでも北京までの列車移動効率は大幅に向上しており、従来10時間だった所要時間は3時間弱まで短縮した。
 
 石太高速線と同時開業した合武高速線(364キロ)は、安徽、湖北間を結ぶ時速250キロの合武鉄路旅客専用線。この路線は、国家T級幹線の寧漢蓉(南京、武漢、成都)高速線の東区段として、合肥を起点とし、六安、麻城、紅安、黄陂を経て武漢に至る。途中、西安〜合肥間の合西線や、武漢〜重慶〜成都の漢襄渝線、そして、京広線と繋がっており、相互乗り入れも増えていくだろう。
 国家計画の四縦四横※の高速線網の重要な路線となる同線建設の投資額は160余億元で、全長は武漢から南京まで409キロ。路線は複線で、途中6‰の勾配はあるものの、時速200〜250キロの動車組を運行することで、武漢と合肥の間の所要時間は6〜7時間に短縮される。漢口から上海まで(821キロ)の動車組利用時の最短時間はなんと4時間45分。
 これまで、上海と華中を結ぶ路線がなかっただけに、この新線開通と動車組運行の相乗効果は計り知れない。
 
※四縦四横 高速旅客専用線計画
タテは京滬高速線(北京〜上海)
京広高速線(北京〜広州〜深セン〜香港)
京哈高速線(北京〜哈尓濱)
滬福厦深高速線(上海、杭州、寧波、温州、福州、厦門、汕頭、深セン)
 
ヨコは隴海高速線(徐州、鄭州、西安、蘭州)
滬昆高速線(上海〜株洲〜貴陽〜昆明)
太膠高速線(太原〜石家庄〜済南〜青島)
寧漢蓉高速線(上海、南京、武漢、重慶、成都)
 
※石太高速専用線の最新時刻表はこちら、合武高速線の最新時刻表がこちら