08年12月21日、全国ダイヤ改正

動車組の存在がより身近に

北京南駅付近を走るCRH3  08年12月21日。中国では鉄道の高速化を意味するダイヤ改正が行われる。今回新規登場する列車は、目標運行も含めて全国単位で65本。そのうち、D動車組が33本(広深線を含む)、Z直達が2本、特快が4本(管内特快含む)、快速が4本(管内快速含む)、普快が7本、そして列車等級の格上げ13本が含まれる。他に、2局以上の列車変更が11本、管内の列車変更が1本発生する。
 なかでも、北京、天津、瀋陽、済南、武漢、広州では、それぞれ時速200キロの営業速度を持つ動車組増備のほか、北京〜上海/杭州間で中国初の試みとなる動車組をベースとした寝台動車組(CRH2E)の導入、そして、上海〜西安/広州間(延期が決定)のZ列車の設置が今回の中心だ。
 
 増備された動車組の新規営業延長距離は合計で3000キロ。そのうち、京広線では北京西〜石家庄/邯鄲/漢口にそれぞれ1本増便となるほか、武漢から鄭州と隴海線を経由し、済南から完成した膠済客運専線経由で青島間とを結ぶ動車組、また鄭州〜済南間を結ぶ動車組もそれぞれ1組ずつ登場。
 いっぽう、山東省と東北を結ぶ初の動車組は、済南と天津から瀋陽北/ハルピン間を運行。電化改良された津山線(天津〜山海関)、秦瀋旅客専用線を経由した運用となり、従来、快速、普快が中心だった同区間の所要時間を5時間以上の短縮に成功している。また東北3省内でも動車組が瀋陽北〜長春/ハルピン間に設定。さらには、広東でも広深線で動車組が20本増備(臨時を含む)され、現地の人たちが利用できる機会が増えた。
 北京行き専用特許だった高速列車は500〜1000キロの中距離を中心に、営業を拡大させることで、途中駅がある大都市でも乗車が容易となり、より身近な交通手段に変わっていくようになったのだ。

 

寝台動車組の登場とZ列車の変更

上海駅に停車中の寝台動車組  中国の夜行列車の代名詞であるZ列車が登場してから4年間半。中国鉄道ではさらに上級クラスの夜行列車を登場させる。それは営業速度200キロの動車組をベースに寝台車(軟臥)に置き換えた寝台動車組だ。同列車は、16両固定編成となっており、前後の先頭車は2等座席となる。そして中間には、2段ベッドの4名個室を10室を備えた、1車両定員40名の寝台車が13両組と食堂車が1両組み込まれる(13RW+1CA+2ZE)。
 現在、この車両はD列車として、北京〜上海間の2往復、北京〜杭州間の1往復が設定され、北京〜上海間では9時間台での運行が可能になった。この3本の寝台動車組の始発は21時台。19時台に頻発するZ列車より2時間遅く、ゆっくり夕食をとったあとでも間に合う乗車時間だ。今回登場した寝台動車組は、将来、北京〜広州などの長距離間を高速専用線を使った時速300キロオーバーの高速寝台列車の登場を占う試験的な内容であり、まだプレリュードの段階と考えることもできる。
 
 また、Z列車では北京〜上海間の2本のZ列車がD列車に格上げされた以外、Z9/10次の北京〜杭州間が終点を寧波まで延伸。そして、上海〜西安間、上海南〜広州東間(延期が決定)で新たなZ列車が設定された。この新規となる2本のZ列車の車両は、北京〜上海間で使用された軟臥と軟座のBSP車両を使用するものの、買いづらかった軟臥の供給問題が一気に解決の兆しを見せ始めたことも見逃せない。
 
※動車組の最新時刻表は北京版こちら、上海版がこちら
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