京津城際鉄路の開通
中国内での時速300キロ運転が実現

現在中国では、2020年までに高速旅客専用線を全国各地に張り巡らせる計画を立てており、京津高速鉄道建設はその先駆けとなる。この高速鉄道の成功により、中国鉄道の現代化がようやく実現できるのだ。
建設計画とルート

この列車の建設にあたり、中国鉄道部と天津市はそれぞれ26億元を出資。さらに北京市も加わり、京津城際鉄路有限責任公司を設立。同社がこのプロジェクト全体の管理と責任を負うことになった。

レールを敷くにあたって、8割が高架線ということもあり、スラブ軌道方式を採用。この方式は、コンクリート路盤上にコンクリート製の板を設置し、その上にレールを敷く構造で列車が通過することによってレールの移動(軌道狂い)を防ぐメリットがあり、JR東日本の新幹線区間で採用されている。中国におけるスラブ軌道採用は、日本の海外鉄道技術協力協会(JARTS)が主体となって、試験線工事や技術移転を実施している。
07年12月16日には全線で線路がつながり、2月には早くもCRH2の改良版、CRH2Cを使った200km/hテスト走行が行われている。
また、天津より先の濱海地区まで51.55kmの延伸工事も進められ、南倉連絡線および南倉を経由して終点となる塘古まで延伸され、08年5月31日に工事が完了する。運行開始後は3〜5分間隔の発車を行い、所要時間も30分と同区間の在来線を走る200km/hのCRH2の75分の2分の1以下となる。
使用車両

この高速鉄道に使用される車両は1編成8両となっており、唐山客車と手を組んだドイツ・シーメンスのICE3ベースのCRH3とCRH2をベースに、4M4Tから6M2TとMT比率を変え、300km/hの速度に対応可能となったCRH2Cも使用される。一方のCRH3は3編成がドイツから輸入されたあと、08年4月に唐山車両から正式に完成した。CRH3には特等席(運転車両)と一等席、二等席が設けられる予定となっている。
CRH3のデザインはICE3をそのまま踏襲しているのに対し、CRH2Cは、はやてをそのままCRH2に仕立て、自国産と吹聴したばかりに国内外から批判を浴びた経緯もあって、フロントにツリ目風のライトを強引に差し込んだデザインに変更したものの、かえって美的センスが失われ、再び国内外から失笑を買う結果となった。表面を真似ても、オリジナルクオリティを見出せないのが現在の中国鉄道の限界でもある。
駅紹介、料金、その他

現在建設中の駅舎は、楕円形鉄格子風の建築で、敷地面積は49.92万平米、建築面積は31万平米を誇る。乗客の移動を第一に設計されており、南二環路、南三環路の間に2.8kmの内外環状線を通す予定。また、駅そばの涼水湖畔の東西両側にはタクシーと一般車の駐車場を設置し、なかでも西側には入口を4箇所設け、渋滞を作らず乗り降りが可能。同駅は、将来完成する京滬高速鉄道や公共バス、地下鉄4号線、14号線などが接続する大型ターミナルとなり、北京南の交通中枢の役割を果たすことになる。

そして気になる切符の価格は一等席が69元、二等席が58元。在来線(旧D列車)の所要時間の半分という高速ながら、20元以上高めの設定にしているため、高いというマイナスイメージを受け止められないかが心配だ。
また、北京南という位置は、北京国際空港や外国人が住むマンションが密集している朝陽区からだと、距離が30km近くあり、慢性的な渋滞を引き起こす環状線に面しているため、果たして30分の乗車とはいえ、より近い北京駅から乗車しても時間がさほど変わらないというネガティブな要素も隠せない。ただ駅を建てるだけでなく、周囲のインフラ設備も利用者が求める利便性を追求した内容を実現して欲しいものだ。
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