チベット鉄道の沿線

チベット鉄道の歴史

チベット鉄道は2006年07月に全線開通となりましたが、中原からチベットまで鉄道を通そうという計画は古くを遡ると、孫文の中華民国からあったそうです。その後1955年からどのようにチベットに行けるか鉄道建設に関する調査がはじめて行われ、四川、雲南、甘粛、青海の4本のルートから建設のコスト、技術の問題等で、蘭州−西寧−格爾木[ゴルムド]−拉薩[ラサ]という風に決定しました。
しかし折からの国内の景気が振るわず、1960年代に一旦は中止、その後細々と1984年に西寧−格爾木[ゴルムド]間を開通させましたが、技術面と資金に問題が生じ、また中止となりました。
 
そして2001年から外国の援助により潤沢な資金を得、工事を再開することとなりました。やがて2005年10月15日に4年の歳月と、約3300億元を投入した結果、チベット鉄道はどうにかゴルムド−ラサまで線路だけが繋がったという状態に持っていきました。
そして本線・沿線の整備を進めながらも、2006年4月からゴルムド−ラサ間で貨物列車を走らせ、2007月から5つの都市(北京・成都・重慶・蘭州・西寧)から旅客列車を乗り入れさせています。

沿線の見所

まず、ゴルムド−ラサ間の途中駅が発表されました。よく”〜山口”書かれている表記ですが、これは峠の意味を表します。
格爾木[ゴルムド] ―― 南山口[ナンシャンコウ] ―― 崑崙橋[クンルンチァオ] ―― 野牛溝[イェニュゥゴウ] ―― 望崑[ワンクン] ―― 崑崙山口[クンルンシャンコウ] ―― 不凍泉[ブドンチュアン] ―― 楚瑪爾河[チュマルホー] ―― 五道梁[ウーダオリァン] ―― 秀水河[シウシュイホー] ―― (風火山トンネル:標高4905m) ―― 二道溝[アーダオゴゥ] ―― 烏麗 [ウリィー] ―― 沱沱河[トォトォホー] ―― 通天河[トンティエンホー] ―― 雁石坪 [イェンシーピン] ―― 唐古拉山北[タングラシャンベイ] ―― 唐古拉[タングラ](駅標高5068m) ―― 布紐曲[ブニュチュ] ―― 安多[アムド] ―― 頭二九[トウアルジウ](3318mの頭二九特大橋がある) ―― 連通河[リェントンホー] ―― 嗄加[ガジァ] ―― 那曲[ナクチュ](駅標高4513m、全列車停車) ―― 妥如[トゥオル] ―― 谷露[グル] ―― 烏馬塘[ウマタン] ―― 当雄[ダムション] ―― 達瓊郭[ダチョングオ] ―― 羊八井[ヤンパチェン] ―― 塞曲[ソチュ] ―― 徳慶[デチン] ―― 拉薩[ラサ]
※現在まですべての正式駅名は未発表、若干順番が違うものがあるので注意してください。
 
以下、中華人民共和国駐日本国大使館のサイトより引用
「多くの世界一を記録 青海チベット鉄道」
 
チベットの象徴、ポタラ宮
  • 青海チベット鉄道は世界で標高が最も高い高原鉄道である。鉄道が走る標高4000メートル区間は960キロに達し、最高点の標高は5072メートルある。
  • 世界で最も長い高原鉄道でもある。青海チベット鉄道のゴルムド−ラサ区間は、荒野・砂漠、沼沢・湿地、雪山・草原を走り、総延長は1142キロに達する。
  • さらに青海チベット鉄道は凍土を走る距離が世界で最も長い高原鉄道である。鉄道が走る永久凍土の距離は550キロに達する。
  • 標高5068メートルのタングラ山駅は、世界の鉄道で標高の最も高い駅である。
  • 標高4905メートルの風火山隧道は、世界で標高の最も高い凍土トンネルである。
  • 全長1686メートルの崑崙(クンルン)山隧道*は、世界で最も長い高原凍土トンネルである。
  • 標高4704メートルの安多鋪架基地(軌框を生産する)は、世界で標高が最も高い鋪架基地である。
  • 全長11.7キロの清水河特大橋は、世界で最も長い高原凍土鉄道橋である。
  • 完成した青海チベット鉄道の凍土区間の時速は100キロ、非凍土区間は120キロに達するが、これは世界の高原凍土鉄道での列車の最高時速である。

  •  
    *隧道=トンネル
     
    高原の中を走るチベット列車[提供:旅行屋石井様]チベット鉄道は4000m以上の高地を約960km走ります。ゴルムド−ラサ区間(1142km)は、ほぼ青藏公路・国道109号線に沿っています。またこの区間は43の駅が作られ(そのうち38の駅は無人駅)、これらの駅のうち9箇所には記念撮影用の展望台が設置される予定です。
    この展望台は長さ500m、高さ1.25mで乗客は列車から降りて、この展望台でチベット高原の素晴らしい風景を眺めることができます(停車時間は15分ほど)。
     
    世界で最高海抜を走るこの路線は、崑崙山、タングラ山、ニェンチンタングラ山の3大山脈を越え、黄河、長江、ランツァン江(メコン河)の三江の源流を望み、永久凍土地帯や高山湖・湿地帯を跨ぎ、ここでしか見れない華麗な風景の中を走ります。この地帯での列車の最高時速は120km、凍土地帯では時速100kmで走ります。
    そして、ゴルムドからラサに向かう列車の殆どは、早朝にゴルムドを発車して、夜ラサに到着するダイヤを採用しています。所要時間は12時間です。ですので、上記の世界記録=特に永久凍土の施設はどの辺りを通過するのか覚えておけば、誰でも見ることが出来るようになっています。
     
    [中華人民共和国駐日本国大使館 2005/10/17]

    沿線の環境保全

    チベット鉄道を建設するに当たり、環境面でもかなり細かい配慮がされています。
     
    中国国際放送局のサイトより引用
    「青海チベット鉄道の建設、環境保護を重視」
     
    全長1956キロに及ぶ青海チベット鉄道が間もなく開通します。世界で海抜が最も高い鉄道として、青海チベット鉄道は着工して以来、人々の注目を集めています。設計や工事の難題のほかに、青海チベット鉄道の建設は生態保護の大きな挑戦にも直面しています。
    チベット自治区の中心地ラサから北へ400キロ離れたところに、面積300平方キロを超える湖があります。ツオナ湖と言うこの湖と周辺の草原は黒首鶴や、白鳥、カモ、チベットカモシカなど多くの国家重点保護の野生動物の生息地となっています。現在、ツオナ湖は青海チベット鉄道に一番近い湖となり、最も近いところには数十メートルしか離れていません。しかし、建設中、ツオナ湖の水質をいったいどのように保護するのかについて、この区間の鉄道工事を担当していた閻陪遵さんに聞きました。

    チベットに向かっている線路[提供:はいらーある様]閻陪遵さんは、「ツオナ湖を汚染しないようにするため、われわれは砂袋で隔離フェンスや隔離網を作り、水の清潔さを保った」と語りました。 ツオナ湖の工事はただ青海チベット鉄道建設の一部で、脆い高原植生の移植や保護、回復の作業は全ての建設工事で行われました。鉄道の工事現場の回りには赤い警戒線で張られています。労働者は警戒区域を超えて作業した時、作業上のミスでも処罰を受けます。閻さんの建設班は1人のトラック運転手が物資を運輸する時に、赤い警戒線を超えたため、10万元の罰金が課せられたほか、破壊した草原をもとに回復するようにと命じられました。
     
    また、凍土は青海チベット鉄道建設中で、最も大きな難題だと言えます。建設中、凍土の環境を保護するため、工事を担当する建設班は設計図に基づいて土を採り、土を捨てる位置を決め、地表の破壊を厳しく防ぎました。
     
    植生など自然の保護より、野生動物の保護はもっと難しい問題です。2000キロ近くに及ぶ青海チベット鉄道の沿線に、11ヶ所の自然保護区が設置されてあり、例えば、有名なココシリ自然保護区はその中の一つです。鉄道の両側には10種類以上の珍しい野生動物が頻繁に移動しており、チベットカモシカや、チベット野生ロバ、野生ヤクなどが生息しています。
     
    これらの珍しい野生動物を保護するため、青海チベット鉄道の設計者はその活動や移動の規律を研究した上で、鉄道沿線に30ヶ所の野生動物専用通路を設けました。また、毎年6月から8月までの野生動物の移動季節になると、毎日百万元の損失が出るにも関わらず、鉄道の建設工事を中止し、野生動物が工事区域を通ることを待っていました。
     
    綿密の設計や工事期間の厳しい環境保護措置が取られたため、青海チベット鉄道沿線の野生動物の生息環境は最大限に保護されています。
     
    [中国国際放送局 2006/06/27]

    今後のチベット鉄道

    チベット鉄道の建設はラサがゴールではありません。今後5年間に青海チベット鉄道を東西にそれぞれ二本延長し、ラサからシガツェ(日喀則)、同じくニンティ(林芝)まで延長させる計画があります。
    延長路線はラサからシガツェまで300km、同じくニンティまで400km、総距離 700kmとなります。2006年には東西の延長路線工事が着工される予定です。
     
    また雲南省や新疆ウイグル地区=カシュガルからラサまで通す計画線もあり、地図上で見るとヒマラヤ山脈に沿った計画路線で、完成すれば遅れている西部の開発に大躍進をもたらすと思います。